はりねずみ通信

すべての動物に低侵襲治療を

ポメラニアンのコロちゃんが、先日亡くなった。15歳だった。
亡くなったことはもちろん悲しかったが、飼い主のIさんに「本当に天寿を全うしましたね」と話したとき、Iさんもそう思っていることが涙で溢れた目を見てわかった。

コロちゃんは、5歳の時、胆嚢粘液嚢腫で胆嚢破裂を起こし、手術で救命できた。
9歳の頃には、気管虚脱で頻繁に呼吸困難になり、気管外プロテーゼの手術も受けている。その後、心臓の弁膜症になり、ずっと薬を飲んでいたが、最近までとても元気だった。

私にとって強い記憶に残っているのは、10年前、胆嚢摘出の手術のあと、退院の時にIさんが言われた言葉である。
「この子にこんなかわいそうなことをして、辛かったです」
大きな手術をしたことを、悔やんでいる。そう仰ったのだ。

胆嚢が破裂し、激しい腹膜炎が起きていて、胆嚢管から十二指腸までがデブリで閉塞していた。そのため、十二指腸切開をして、胆汁排出路を疎通させ、長期間ドレナージをして必死の思いで治した。
退院の日に「当然感謝されるだろう」と思っていた私は、驚いた。
そして獣医師が考えていることと、飼い主さんが考えていることの根本的な違いを知ったのである。

ただ治せばいい、のではない。
そのことにはっきりと気がついたのは、コロちゃんのこの一件があったからだ。

その後、私は腹腔鏡手術や関節鏡手術、PLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)などの低侵襲治療に関心を持つようになる。ちょうど10年が経った。
私が行った腹腔鏡下胆嚢摘出術は、現在50例を越えた。まだまだ技術的には洗練させなければならないところも多いが、この手技が安全に行われるための技術の確立とその普及につとめたい、と思っている。

低侵襲治療をすべての動物が受けられるように。動物の手術で、飼い主さんの心が傷つかないように。
それが、わたしのミッションである。

 

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みればみるほどへんなかお

 

「すべての動物に低侵襲治療を」への4件のフィードバック

  1. 昨日は ニニィの手術有難うございました。傷跡を見て 少し驚きましたが 夜は 食事もたくさん食べて 疲れていたのか よく寝ていました。
    コロちゃん たくさんの手術を乗り越えて 15歳まで 頑張ったんですね!
    一緒に 乗り越えてきた Iさんも いろんな思い出があって お辛いと思います。コロちゃんは Iさんが 飼い主で良かった!って思っていますよ。
    昨日も 診察の順番を外で 待っていたら 飼い主さんが泣きながら 出てこられて 後で 可愛い箱を持った角谷先生と岡本さんが出てこられました。
    他所の ワンちゃんの事でも 泣いてしまいます。
    ガクも13歳です! 覚悟はしていますが 怖いです(-_-)
    ガクも コロちゃんみたいに最後まで 先生にお願いするつもりです。
    その時まで 宜しくお願いします。

    1. がくさん、ニニイちゃんは乳腺の腫瘍を完全に切除するため、その部位の傷は大きいですが、腫瘍切除にはレーザーメスを使い、避妊手術は腹腔鏡で行っているので、あまり痛みはないと思います。また心配なことがあれば連絡くださいね。
      ガクちゃんが天寿を全うするまで、ずっとみていきますね。

  2. 今日ごんちゃんを迎えに待合室にあの表彰状とポスターがしつかりと 読ま

    せていただきましたが理解不能 しかしとても細かい作業をこなされて頭が

    下がります

    ごんちゃんの治療を終えて迎えに 姿を見ればやはり辛い Iさんの気持ち

    少しわかるような 生き物を飼えばいつかは迎えなければならない現実私た

    ちも同じだ

    1. さとうさま、病気の治療はとてもたいへんですが、少しでも体が楽になるようにしたいです。
      一緒に過ごせる時間を大切にしてほしいです。

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