はりねずみ通信

「場」の力学

先日埼玉のT動物病院に行ったとき、院長のT先生が興味深い話をした。
T動物病院は今年3月に旧動物病院から50mほど離れた場所に移転し、完全にリニューアルした。手術室も全く新しくなったのだが、T先生曰く、
「最初手術するときは、ものすごく違和感がありました」
とのこと。いつもと同じ道具を使い、同じように手術しているのだけど、なんとなく宙ぶらりんな感じ。
そういうことを言われていた。

私も全く同じように感じていた。
私のところでも、先日新しい手術室ができた。最近ようやく落ちついてきたが、最初は「よそから放り込まれた」感じがなかなか抜けなかった。やっていることはまったく同じ。いつものように進めて行くだけである。道具も変わらないし、スタッフも同じ。なのに、なにか違うのである。

人間にとって「場」に馴染むことがとても重要だと再確認した。
ときどき他施設で手術することがあるが、このときはとても緊張する。慣れている手技でも、何かが違う感じがする。完璧に道具を準備すること、手術のディティールをもう一度確認すること、周りのスタッフと会話し、雰囲気を作ることに努める。自分で「場」を作るしかないのである。

それを思うと、オリンピックの選手はすごい。
毎日練習して、完璧に行うことができる技でも、場所が変わると全く違うはずである。
たとえば体操競技では、床の反発の微妙な違い、鉄棒の手に触れる感覚など、ほんの少しの違いが「違和感」として感じられるだろう。しかも、観客の雰囲気や音、空気の振動なども全く異なるはず。
そのなかで、とても難しい技を披露するのは、並大抵の精神力ではできないだろう。

ある意味「手垢のついた場所」というのは、人間には(おそらく動物にも)必要なものだと改めて思う。


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まもるもの

 

 

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