学会・研究会参加

椎間板ヘルニアに対する経皮的レーザー椎間板除圧術(PLDD)の有用性

金井浩雄
かない動物病院:〒670−0811 兵庫県姫路市野里569−1

はじめに
当院で経皮的レーザー椎間板除圧術(以下、PLDD)をはじめてから7年が経過し、症例総数は400件を超えた。動物の椎間板ヘルニアは発生部位、発生箇所、経過時間等により、非常に多彩な臨床症状を発現する。PLDDは、外科的摘出と組み合わせて、または単独で使用することにより、これらの複雑な病態に対して有効性が高いと日々実感している。このたびのランチョンセミナーでは、PLDDがどのような病態に有効であるか、具体例を挙げながら示したい。

材料および方法

  1. 胸腰部ハンセンⅡ型の多発性ヘルニアに対して
  2. 馬尾症候群に対して
  3. 頸部椎間板ヘルニアに対して
  4. グレード1(疼痛のみ)の症例に対して
  5. 麻酔リスクの高い動物、高齢犬に対して
  6. 猫に対して


結果

詳細は発表スライドで報告する。

考察

  1. 慢性経過のハンセンⅡ型ヘルニアは、今まで有効な治療法が少なかった。多くの場合多発性であることや手術侵襲により神経機能が悪化することがあることなどから、積極的な外科治療は行われない傾向にあった。PLDDは複数の椎間板を非常に低侵襲に治療できるため、多発性のハンセンⅡ型ヘルニアには最も適した手術法と思われた2)3)4)。
  2. 馬尾症候群は、臨床症状が重度になってはじめて外科治療が選択されることが多かった。ところが臨床的には、そこへ至る前段階の症例を数多く診察する。これらの症例に対し、積極的にPLDDを行うことにより、疼痛を緩和し、ヘルニアの進行を予防できると思われた。
  3. 頸部椎間板ヘルニアは単独で発生することもあるが、複数の椎間板で多発性に観察されることも多い。腹側減圧術が選択される場合、複数の椎間板を同時に治療することは、頸椎の安定性を損ねる可能性がある。これらの症例にPLDDは非常に有効である4)。
  4. 疼痛のみの症例は「軽度のヘルニアである」とみなされ、積極的な検査や治療が行われない傾向にある。神経学的異常が認められない症例に、何らかの外科治療を行い、臨床症状が悪化する心配が獣医師にあるため、多くの初期病変は治療されてこなかった。PLDDには椎間板ヘルニアの進行防止効果があり1)、侵襲も少ないため、これらの症例に利用可能である。
  5. 動物の高齢化が進み、高齢になって後躯麻痺などの症状を示す症例は増加傾向にある。随伴する基礎疾患などのため、椎弓切除などの外科治療は選択しづらく、内科的治療で対処されることも多い。これらの症例に、非常に低侵襲で行うことのできるPLDDは有効であろう2)3)4)。
  6. 猫の椎間板ヘルニアは、犬に比べ診断されることが少ない。後躯麻痺までの臨床症状を示さないこと、運動能力が高いため臨床症状がマスクされやすいこと、飼い主が症状に気がつきにくいこと、などがその理由であろう。「段差を上がることができにくくなった」「じっと寝ていることが多くなった」などの症状を丁寧に聞き出し、精査していくと、しばしば椎間板ヘルニアが発見される。これらの症例にPLDDは有効である。


まとめ

PLDDはさまざまな臨床症状を示す椎間板ヘルニアに対し応用でき、有効性が高い。初期病変を診察することの多い我々一次診療施設では、非常に利用価値が高いと考えられた。

参考文献
1)胸腰部椎間板ヘルニアのミニチュア・ダックスフント120頭に対する経皮的レーザー椎間板除圧術の予防効果および合併症(2006〜2012年)、獣医麻酔外科学会2013
2)経皮的レーザー椎間板除圧術による胸腰部椎間板ヘルニアの治療成績、2012年動物臨  床医学会、ランチョンセミナー
3)椎間板ヘルニアの犬に対する経皮的レーザー椎間板除圧術の転帰および合併症204例(2006−2011)、第2回兵庫県開業獣医師会臨床研究会、2012年

4)経皮的レーザー椎間板除圧術(PLDD)が有効であった頚部椎間板ヘルニアの犬の6例、獣医神経病学会、2012年

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